看護学部生シアトルボランティア記

日本で看護を学ぶ大学生が1ヶ月アメリカワシントン州シアトルの高齢者施設でのボランティアの経験とその生活模様を綴るブログです。

ボランティアオリエンテーション

ボランティアオリエンテーションについてです。

ワシントン州では介護施設でボランティアを受け入れるにあたりBackground Check(犯罪の)と少なくとも2人からのその人についての情報(Personal Reference)と、5時間のオリエンテーションが義務づけられているそうです。監査の時にそれらを怠ったことが発覚すると施設運営に支障をきたすそうです。

 

オリエンテーションの中で一番重点を置いて話されたのが

「虐待(abuse)・ネグレクト」

「個人情報の保護(Health Insurance Portability and Accountability Act=HIPAA)」

についてです。日本では考えられないことが虐待とみなされたり、個人情報漏洩だとみなされることに驚きました。

【Abuse・Neglect】

例えば、ご飯の準備をする時にテーブルクロスをひく予定のテーブルに利用者がいてたとして、その人に動いてと言っても動かない場合、その人の手をとって移動させるようなことがあったり、また、介護者側の都合で着替えをせかしたりすることも、利用者の権利を侵したということで虐待ととられるそうです。要はささいなことであっても無理強いをしてはいけないということだそうです。

そのこれらが強調される背後には弱い立場にいる人達は護られなければならないという州の州律があることが深く関係しています。それが州律であるということは、虐待を知っていながら見逃すのはまた犯罪です。また、虐待を発見した場合、必ず警察とAbuse/Neglect Hotlineに知らせなければならないそうです。

【HIPAA】(そのまま、ヒッパと呼びます)

個人情報の保護については、その利用者さんやご家族からの許可がない限りその人だと特定できる情報を一切口外してはならない。例えば、「〜さん元気?」と聞かれたときに、「元気だよ」と第三者に(〜さんの友人であっても)伝えてはいけない。とか、亡くなった元利用者さんを訊ねてホームに来た人にも亡くなったことを伝えてはならないなど、とにかく利用者さんがどう考えているか分からないことに対して情報を漏らしてしまうことは一切してはならないとこのとでした。

【Infection Control(感染対策)】

例えば手洗いは25秒が州の法律で定められているとか。それを破ったらどうなのかはさすがに聞きませんでした。笑

【ボランティアに何ができるのか、何ができないのか】

責任問題と従業員の仕事をまもるため、いくら看護師や介護士のライセンスを持っていても職員でない限り利用者にその専門行為を行ってはいけないとのことでした。

完全な分業がなされていて、例えば車いすで座っている方がずれてきていたら、触れずに介護士を呼ぶ、誰かが倒れていたら看護師を呼ぶということでした。

また、一番驚いたのが、食事をよそったり、運ぶのにもライセンスがあるそうです!10ドルぐらいでweb上で取れる簡単な資格だそうですが、なければ触れません。名前はFood handlerと言います。

 

まとめとして、私は今まで日本でボランティアをして、これほど厳しいオリエンテーションをうけたことはまずありませんでした。

虐待については、日本では「モラル」や「倫理」という曖昧な言葉で表現されながらもそれぞれ個々の価値観に判断が委ねられていることが、アメリカでは法律として明記され、それを守りながら業務にあたることが前提になっていることに私はとても驚きました。