看護学部生シアトルボランティア記

日本で看護を学ぶ大学生が1ヶ月アメリカワシントン州シアトルの高齢者施設でのボランティアの経験とその生活模様を綴るブログです。

レジデントの権利と意思尊重

今日はKeiroで昼食前の投薬時のナースの仕事を見せてもらいました。

彼女は薬の入った大きい鍵付き可動式の引き出しと分厚いファイルを持ち、投薬を行いながらチェックをしていました。ちなみにアメリカではナースか、介護士でも薬を手渡しするライセンスがなければ薬を触ることはできないそうです。

彼女がある居住者のデータを見るために取り出したファイルにはその方の延命処置に関する意見が最初にありました。

前にも書いた通り、それは、万が一のことがあった場合に心肺蘇生をできる限り行うのか、また延命を行うのかどうかを書いたものです。 延命処置を強く望む方であれば投薬もそれなりにきっちりと行わなければなりません。(というのは延命処置の希望とは裏腹に薬を拒否する方もいるため)

とても合理的だと感じました。

 私はPodiatristやDentistへ居住者の方を連れて行ってから気になっていたことがありました。それは、

「なぜそこまであっさりと居住者の意見を聞いてしまうのか。」ということです。

勿論命に関わることや、緊急を要することは例外とされますが、徹底して居住者の意思が尊重されていることが他の皆さんの仕事を見ていて強く感じます。だからと言ってほったらかしでは決してありません。

それら意思の尊重を支えるのに重要や役割を果たしているのが、虐待の定義がはっきりしていることであると思います。その人の意思に反したことを無理強いすることが虐待になるため、何かを無理にさせようとしたりするようなどうしようもない状況を施設内では見かけたことがありません。

言うことを聞かないということは裏を返せば言うことを聞かせようとしている状況があることに気がつきました。

ちなみに施設のお手洗いにも虐待、ネグレクトの報告義務について書かれた紙が貼られています。 それが目につくところに貼られていることは、お見舞いにきたレジデントの家族も安心して大切な人を預けることのできると感じられるのではないだろうかと思いました。

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