看護学部生シアトルボランティア記

日本で看護を学ぶ大学生が1ヶ月アメリカワシントン州シアトルの高齢者施設でのボランティアの経験とその生活模様を綴るブログです。

ドクター・ナースの仕事着

家に帰ると研修医であるルームメイトが病院のガウンを着たまま台所に立っていました。写真右の感じで。

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え?

仕事抜け出してきたの?

と聞くと、

いや、終わって今。と。

そのまま着替えず帰って感染とか問題にならないのか?

と聞くと、

何か特別な処置をする時はそれ用の服を着てるから大丈夫。

って。

へぇ。

次の日、施設の看護師さんにその服のまま帰ることある?

ってきくと、

うん、いつもこれで来るしこれで帰る。って。

へぇ。

楽でいいなと単純に感じました。

高齢者の外出の価値

今日はManor(Assisted Living / Kokoro kai)の方で居住者の方達とOuting(車に乗ってちょっと遠出)へ行ってきました。

ちなみに居住者がいるところで写真は撮れないので今回の写真はネットからひっぱってきたものです。

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行き先はBellvueのBotanical Gardenです。そこはどことなく日本の香りのするとても素敵な場所でした。全てがバリアフリーになっていて、車いすも難なく押して歩くことができました。と言っても車いすは万が一の時のために持って行っただけで、みなさんご自分で歩いていました。

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8名ほどの参加者に対しスタッフは1名、あとは3〜4名のボランティアでした。30分程かけてそこまで行き、1時間程歩き、また30分程かけて帰りました。

私からするとたった1時間の外出では物足りない気がしたのですが、参加者の方は皆とても喜んでいました。

毎日代わり映えのしない場所で生活することと、少しでも外出の機会があることの違いを感じました。

往復1時間、滞在1時間の計2時間ですが、皆さんと一緒に歩いて話をして、帰ってランチを食べてそこでの思い出話をして、生活の中の少しの楽しみが心にどれほど良い影響をもたらすのかを実感しました。それは何もお金をかけてすごいごとをする必要がある訳ではないことも今日知りました。日本に帰ったら祖父母と近所に散歩に行こうと思いました。

Podiatrist(足治療医)の日

今日はKiero(Nursing Home)でPodiatrist(足治療医)訪問の日でした。糖尿病等を持つ居住者の爪の様子をみたりするため、定期的に訪れるそうです。

Podiatristは一人一人の部屋を訪ねるのではなく、ひとつの部屋を診察室として使用していました。そして、その診察室まで居住者を連れて行くのは介護士や職員ではなく、ボランティアでした。

3人のボランティアで約25人の移動を手伝いました。興味深かったのは、居住者が寝ているのは仕方がないとして、その人が行きたくないと言ったら多少説得はするものの、(介護士、看護師にヘルプを頼む)絶対にしつこく強制をせず、あっさりと紙にRefuse印をつけ、医師に伝えることでした。そう伝えられた医師も普通でした。

一見、レジデントの自己中にしか見えない断り方でも、理由がなくとも、とにかくよほど重症でもない限り治療に関してはその人の意見が尊重されるのだなと理解しました。

最後にレジデントの名前の書いた紙は所定のシークレットボックスに捨てます。HIPAAを守るためです。そうした紙は絶対に施設から出してはいけないと教えられています。

ボランティアの需要と供給

ボランティアをして1週間が過ぎました。

私が行っている2つの施設では両方ともとっても多くのボランティアの方々が働いています。そして皆さんとってもよく働いています。ボランティアもスタッフの方もほぼ同じネームタグをつけているので、初めのうちはどなたがスタッフでどなたがボランティアなのかも見分けがつかなかったです勤続25年のボランティアの方もいます。というほどに両方の施設の中でボランティアの存在はとても大きいです。

仕事をしながら、

もしもボランティアがいなかったらどうするのか?

どのようにして膨大な数のボランティアを集めているのか?

(ボランティアコーディネーターの方が相当やり手なのだろうか・・・?)

という謎がわいてきました。

Keiroの方にはボランティアルームがあり、ボランティアコーディネーターの方のオフィス兼ボランティアの休憩所になっています。

そこには膨大な量のボランティアの名札がかかっています。中にはセラピー犬の名札まであります。笑

ボランティア募集の紙にも施設及び団体がどういう仕事を行ってくれる人を必要としているのかが明確に明記されています。これは当たり前のように感じますが、日本の施設ではひとくくりにボランティア募集と抽象的に伝えられ、意外となされていないことなのではないだろうかと感じます。

ボランティアをしたい方と、仕事をうまくマッチングさせるにはボランティアコーディネーターの存在は不可欠だなとこちらに来て自然に感じるようになりました。

また、ボランティアの方の中には月に何回か1時間、2時間という方もいます。だけどピンポイントでとてもいい仕事をなさっています。

少ししか参加できないから何もしないのではなく、少しでも手伝えることがあればする、という姿勢と、その受け皿の存在の両方の大切さを知りました。

Nurse Conference

今日はボランティア先のNursing Homeの看護師の会議を見せてもらいました。

私がお世話になっている施設では色んな人種の方が働いています。

集まったナースたちは肌の色が違うだけでなく、英語のアクセントも宗教も違いました。これが普通って面白いなと単純に感じました。どんな国際会議が始まるのかと一人でワクワクしていました。

テーマはコミュニケーションについてで、レジデントのより良いケアのため、自分たちはチームで仕事を行っているのだから行った業務や連絡事項を頭の中だけに置かずにきちんと書面に残してくださいといようなことがメインでした。

ヘッドナースは必要事項を簡潔に述べ、軸からぶれることなく話を進めていきました。

意見が出にくいときにはどんな意見も尊重するからと意見を促し、出た意見全てに対して適切にフィードバックを返し、会議を作っていっていました。

そして始まりの時間は多少遅れたものの、きっちりと1時間で会議は締められていました。終わりの時間が延びないのはいいなと感じました。

分業分業!

ボランティアが利用者、及びレジデントに対してできることは決まっています。

話をしたりアクティビティを行うこと、外出などに付き添うことなどです。

日本であればごはんの時間にボランティアが配膳をするのは当たり前ですが、こちらではごはんを入れるのも(作るのは含まれない)、配膳するのも、資格が必要です。例えば利用者さんが肉を切るのがしんどいから細かく切ってくれというのにも、その資格がないとできません。だから何かあるとその都度その資格を持っている人を呼ぶことになります。時としてとても面倒に感じます。

デイサービスのアクティビティは、介護士ではなくアクティビティ専門の方達が行います。

では、介護士は何をするかと言うと、車いすにきちんと座れていない方の体位を直したり、車いすの方のトイレの介助をしたり主に”介護”と呼ばれることを行います。

ではでは、看護師は何をするかと言うと、日本と同じですがデイサービスの際には身体に異常があったりする場合のみに出番となります。基本的に目に見えるところには配置されていません。異常があるときに電話で施設内の看護師を呼び出します。

これはひどい例ですが、ある看護師に車いすの方のお手洗いのアシストを頼むと介護士を指してあちらに頼んでという方も少なからずいるそうです。

仕事を作るための分業なのか、特定のことにフォーカスして専門性を高めるためなのか、まだ何かよくわかりませんが、なんだか慣れない者にとっては時としてもやもやすることもあります。

ボランティア先について

私が一ヶ月間ボランティアするところについて紹介します。


Nikkei Concerns- serving older adults, families and children

ここの団体の運営する、

Seattle Keiro(Skilled Nursing Home-日本でいう特別擁護老人ホーム)、

Nikkei Manor(Assisted Living-自立して生活できる方の入居する老人ホーム)、

Kokoro-kai(Nikkei Manorの中で行われているデイサービス)

でお世話になります。

Nikkei Concernsは1970年代に、Japanese-American2世の方々が親の世代の1世の方が差別を受けることなく、日本の習慣を大事にしながらも安心して暮らせる場所を作るというコンセプトの下で設立された団体です。寄付から出来上がった団体だそうです。

しかし現在は時代も移り変わり、Keiroの方には様々なバックグラウンドを持つ方が入居しています。レジデントの話す言葉の数を数えると約20カ国語にも及ぶそうです。日系人以外でも入居を希望する方が多いらしく、新たなニーズが時代の移り変わりによってでてきているそうです。

私はKeiroとManorで1週間に半分ずつ通います。